顎関節症といってもいろいろな症状があります。大きく分けると、
があげられます。
1.は局部的な症状で、顎関節内の関節円盤(弾力繊維)の損傷が原因です。
2.は肩こりや目まい、手足のしびれ、精神的な失調など全身におよぼす症状があらわれます。
顎関節に障害の自覚がないため、ご自身がこれらの病状の原因が顎関節症と断定するのは非常に難しいです。
顎関節症の発症のメカニズムは現在でも解明されていませんが、上記の1、2とも「下顎位のズレ」からこれらの症状が起こると言われています。
「下顎位のズレ」の要因はいろいろな考えがあります。
歯の咬み合わせが悪い
不良補綴物や歯を失うことによる咬み合わせの変化
ストレスや全身によるもの
歯ぎしり、噛みしめ、片側噛みなどの悪習癖、悪い姿勢や頬杖、睡眠障害、無理なダイエットなど様々です。
近年ではストレスや緊張状態での無意識の噛みしめが大きな要因とされています。
普段、リラックスした状態の顎は、頭の骨にぶら下がっています。上の歯と下の歯には隙間があり、常に噛み合っているわけではありません。歯が当たるのは食事の時だけです。
無意識に強く噛んでいる人は顎関節や歯と歯を支える周囲組織に相当な負担を掛け続けていることになります。
問診、触診、レントゲン撮影や上下顎の歯の模型を取り、咬み合わせ等を診断します。
治療は下顎位を正常な位置に戻すことと、顎の筋肉をリラックスさせることですが、通常これらは「スプリント」と呼ばれるプラスチック製のマウスピースを装着してもらいます。
このスプリントは部分的なものから全体のものまで症例に合わせて作ります。
また、治療の経過によりスプリントの高さや大きさなど少しずつ調整を行います。
症状が軽い場合はスプリントを装着する期間もそれほど多くはありません。
しかし長期にわたり下顎位のズレが生じてしまった場合には、噛み合わせる位置も大きく変えなければなりません。
長期間スプリント治療を行い歯をのばしたり、金属製のスプリントを接着して噛み合う高さを変える場合もあります 。